今回の話はちょっとセクシー。
とても重要なんだけど、でもこんなとこ意識してできてるお店はなかなか無いです。
これをやり過ぎで失敗してるお店はありますけどね。
“スタッフの抜け感” てことなんですが、これ実は加減が難しい。
なので実践するのが少し難しいのです。
ですのでまずは、「そういうものなんだな」くらいに聞いといてくれれば大丈夫です。無理する必要はありません。
それでは説明します。
“抜け感” って何??
飲食店に入って席につくと、スタッフが水を持ってきて、
「お決まりになりましたらお呼びください」ってシーン。
このシーンが特別記憶に残ってるお店なんて多分無いですよね。全然普通のよくあるシーンだから無くて当然。
でももしこのシーンでスタッフの女の子が、
ニッコリ笑顔で「お水です♪」と言って水を置いていったらどうだろう?
普通とちょっとだけ違う接客。接客マニュアルにも無さそう。
言われた方は「ん?」となる。水にイチイチ「お水です♪」なんて普通言わないから。
言われたお客様は「いや水わかるし笑」とか、「お、おう、、」とか「ん?何だ?」と思うはず。
で、それがどうなるかというと、普段なら意識することなく流れていくこのシーンが、
お客様の脳細胞をくすぐるちょいイベントになる。
もしもここで接客したのが、マニュアル通りしっかりやれる “優等生スタッフ” だったとしたらこんなことは言わないでしょう。
そんな風に教わっていないから「お水です♪」なんて出てこない。
さて、どっちがいいかって話。
お分かりの通り、「お水です♪」スタッフの方。
しっかり学んでちゃんと振舞える優等生スタッフより、教わってもいないし言わなくてもいいことを勝手に言ったスタッフの方が結果的に良いってこと。
納得いかないかもしれませんが、こればっかりはしょうがない。
で、この通常から外した感じを僕は “抜け感” と呼んでいます。
客に一瞬「ん?」と思わせる “違い” というか “ツメの甘さ” というか “ユルさ” というか “隙” というか。
わかります?まあ7分後には理解できてるはずですので、このまま読み進めてください。
人は適度な “抜け感” が好き
じゃあなぜ抜け感スタッフの方がいいのか?それには明確な理由があります。
ちゃんとマニュアルを守っている優等生スタッフには気の毒ですが、実はこんな仕組みがあります。
顧客心理の話。
まず人は、完璧な人間よりもちょっと抜けてる人の方が好きです。
そこに人間味を感じて親近感が増すから。
以前、フィギュアスケートの羽生結弦選手が会見でこんなことを言っていた。
「実はボク、自転車乗れないんですよぉ笑」
あんな並外れた運動神経の持ち主が自転車に乗れないの!?と。
あの一言でどれだけのファンが失神失禁したことか。
完全にやりやがった瞬間でした。わかってるユズ王子。
“抜け感” がつくる距離感
お客様は通常の流れに慣れているから、抜け感スタッフの接客は「ん?」となる。
普段なら飲食店のスタッフを意識することはあまりない(超可愛い場合を除く)が、ちょっと気になってしまう。
スタッフの抜け感に親近感を抱くから。
メチャクチャ気にするワケじゃないけど何となくうっすらと。通常の店員と客の距離感より若干近く感じる。
距離が近くなるとその相手のことをポジティブに捉えるようになるのが人の心理。
政治家が選挙になると握手してまわるのもこれ。オバサマ方も進次郎にゾッコンですよね?
抜け感スタッフがフックになる
そしてそのうち、抜け感スタッフが料理を持ってきた時にお客様の方から一言二言話してきたり。
それで、ムダにオススメ聞いたり、チョイ突っ込んで年齢聞いちゃったり。
そんなことしてるともう、注文ミスしても全然許しちゃう。頭からビールぶっかけられたって怒らない。それどころかそのハプニングがむしろ思い出イベントになる。ヤバい笑
で、そんなのが後々、そのお店を脳ミソにインプットする時の材料になる。引っ掛かり。専門用語で「フック」ってやつです。
味や価格以外に、スタッフもフックになり得るということですね。
これが優等生スタッフだったら、悲しいかな大して引っ掛からない。
お客様は気持ちよく過ごせるだろうけど、でもフックとしては弱い。
「ウチのスタッフみんなちゃんとしてるのに何でだよっ!?」ってシーフードピザを投げ付けたくなる人もいるでしょう。
だけどそういうものだから仕方がない。お客様の心理を知らずに接客マニュアルを作ってる方が悪いと言える。ピザは投げないでください。
ちょっと厳しい話、お客様も見ず、お店の状況や時代の流れも感じずに、ただただ「決まりごとだから」と古臭いルールをいつまでも正しいと思い込んでずっとやってるのは怠慢です。
被害者面してないで変化に付いていかなきゃダメ。状況を把握し、そして自ら生み出すのです。
「経験は創造性の対極にある」ってどこかの誰かが言ってました。
どうか過去に囚われないでください。
“抜け感” の程度はお店による
わかってると思いますが、「お水です♪」って言って水を出せってことじゃないですよ。
スタッフの “抜け感” でお客様との絶妙な距離感を構築しましょうって話です。
じゃあ抜け感スタッフをどう作るかってことですが、実は意図的に抜け感を作るのは難しいです。
まあ「お水です♪」くらいは決め事としてやってもいいけど、色々決め過ぎるとあざとさが出て失敗します。
お客様との距離感は近付き過ぎると、その時は楽しくても後の印象として「疲れるお店」、もしくは「面倒くさいお店」になってしまうから。
これやって失敗こいてるお店がいっぱいあります。多分キャバクラで学んできたんでしょう。
なのでまずはスタッフ教育を工夫してみるといいです。
抜け感スタッフのつくり方
どうするかと言うと、スタッフには何でもかんでも完璧を求めないようにする。
一定レベルを超えさえすれば良しとして、ある程度は目をつむること。
ダメそうに見えるところもそのスタッフの個性としてグッと飲み込む。ちょいガマン。後々それが抜け感としてフックになっていく可能性があるから。
それでですね、抜け感レベルってのはお店によって違うから気を付けないといけないです。
スタッフがダメ過ぎてイライラするお店もあるし、キッチリ優等生スタッフのおかげで居心地がいいお店もありますから。
なのでまずは自分のお店の雰囲気を考えてみてください。
で、どの辺りの抜け感が最適かを考える。それに合わせて接客マニュアルの “一定レベル” を決めてみてください。
以上です。どうでした?ちょっと難しかったですよね?
この記事に限らず、もしも理解も納得もイマイチできないものがあったら、それはあなたにとって新しい前進材料だったということです。
ここに書いてあるのは絶対的成功法則ですので。
そういうものに出会ったらまずは何も考えずやった方がいいです。
未来が拓けるのはそんなところからですから。